2008年05月26日(月) 23:14
![]() | インコは戻ってきたか (集英社文庫) 篠田 節子 ちびちび的プチ評: ![]() ![]()
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女性誌の編集をしている響子は、
「究極のハイクラス・リゾート」の取材で
キプロス島を訪れることに。
でも、一緒に行くはずだったイケメン・カメラマンはおじさんに代わり、
「東地中海の真珠」と呼ばれるはずのリゾート地は、
内戦で不穏な空気が漂う。
それでも、カメラマンの檜山はサクサクと仕事をしてくれ、
いろいろと気遣いもしてくれる。
おかげで、なんとか取材を終えたものの、
紛争地に迷い込んでしまい、身柄を拘束されてしまいます。
39歳の響子は、夫と息子と姑の4人暮らし。
姑には、
「企業戦士の息子が二人いると思ってるの」
と暖かいのか嫌味なのか分からない励ましを受け、
会社ではギャルOL達の尻拭いをし、徹夜作業も引き受ける。
鏡を見ながら
「負けちゃダメ。弱音をはいちゃダメ。」
と自分に喝を入れるあたり、とてもリアル。
こんな経験は、
男女問わず誰にでもあるのではないかと思います。
それでも、やっぱり。
「働くお母さん」は大変だとひしひし感じました。
妻やって、母やって、嫁やって、企業戦士やって、
なおかつ、女でもいたいわけですから。
『女たちのジハード』が20代女性の戦いを描いたものなら、
こちらは30代既婚女性のギリギリ感を見せてくれています。
ただ。
キプロス島の紛争が、響子と檜山の関係を変えていくわけですが、
その政治的・歴史的背景は、
はっきり言って、全然知らない話。
なのでなかなか話しにのれない。
女性誌のハイクラス感を演出したい響子と、
元は報道カメラマンで政治背景が気になる檜山との温度差は
とても分かる気がするのですが、
なかなかストンと腑に落ちるところまでいけないのです。
まぁおかげで、
言葉が通じない異国で、異邦人二人が感じた疎外感は際立って感じます。
そして、この疎外感は、
本来の居場所でも二人が感じているものなのですが。
でも、檜山と過ごした数日が、
ほんの少し響子を変えたラストはとてもせつなかったです。
大きくは変わらない。ほんの少し。
それが同世代の女性として、とてもよく理解できました。
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