人生万事塞翁が馬。 でも、なんだかこんがらがってしまうことが多い日々。
           
ベルンハルト・シュリンク『朗読者』
2008年06月08日(日) 22:45
朗読者 (新潮クレスト・ブックス)朗読者 (新潮クレスト・ブックス)
Bernhard Schlink 松永 美穂

 ちびちび的プチ評
   重くて切ない物語です。
  
新潮社 2000-04
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15歳の少年ミヒャエル・バーグは、
親子ほども年の違う女性ハンナに恋をします。
毎日、学校から帰ると、彼女の家で愛し合い、本を朗読する。
けれどある日、ハンナは姿を消してしまいます。
「捨てられた」のは、自分なのか、彼女なのか。
釈然としないまま、でも、他の女性と恋をしても、
ハンナと比べてしまって上手くいかない。

もう二度と会うことはないのだろう、と思っていたミヒャエル。
でも、意外なところで再会を果たします。
そこはナチスの犯罪を裁く裁判所。
法科学生として聴講に来ていたミヒャエルは、
被告人の中にハンナを見つけます。
彼女が犯した許しがたい犯罪に憤ると同時に、
まったく弁解をしようとしない彼女の「秘密」に気がついてしまう。

ナチスの犯罪に加担した者と、その世代。
そして、そのことを指差して糾弾する世代。
ハンナは前の世代であり、ミヒャエルは後の世代なわけですが、
二人の関係の底には愛情がある。
その時、自分はどうすればいいのか?
戦争という極限状況の中でなされた行為の罪と、
それを恥じる思い。
とまどうミヒャエルの述懐を通して、
戦後のドイツが歩んだ世代間ギャップの揺れが見える気がします。

ハンナが送る手紙に無反応を通したミヒャエルと、
最後に彼女が選んだ結末は、う〜、辛いものでした。
でも、彼女はミヒャエルに会うとき「女」であり、
人間としてのプライドを貫いたのだろうな・・・と思うと。
彼女の不器用さが、ますます切なく思えました。

恋愛小説としてはちと重いテーマですが、オススメです。


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