人生万事塞翁が馬。 でも、なんだかこんがらがってしまうことが多い日々。
           
高杉良『濁流』
2008年06月05日(木) 23:32
濁流〈上〉―組織悪に抗した男たち (講談社文庫)濁流〈上〉―組織悪に抗した男たち (講談社文庫)
高杉 良

 ちびちび的プチ評:
  会社の暗部を覗き見した気分です。

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濁流〈下〉―組織悪に抗した男たち (講談社文庫)濁流〈下〉―組織悪に抗した男たち (講談社文庫)
高杉 良

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産業経済社の社長で主幹の杉野は、
政財界のフィクサーを自任している。
気に入らない企業トップがいれば、雑誌『帝都経済』でたたきまくり、
広告料をせしめるやり方で「取り屋」とも呼ばれる男。
その秘書を務める田宮大二郎は、杉野の長女と婚約し、
社のホープとして期待を集めているわけですが、
実態はというと、杉野の使い走りで「集金」係です。
いつかは編集部に戻りたいと願いながら・・・。

杉野が入れあげているのが「聖真霊の教」という新興宗教で、
社員は皆、本山への参拝を強要されています。
ただ一人拒み続けているのが、エース記者の吉田。
そして、強要を免除(?)されているのは、
会社のナンバー2で、杉村の愛人・古村綾。
企業が信仰を強要するのは憲法違反だ!
と、吉田の反抗がシビアな闘いになっていく。

お金のためなら手段を選ばない杉野や
彼を持ち上げ畏怖する企業トップの姿は呆れるばかりです。
「一本」というから「一千万円」かと思いきや、
そのも一個上なんですね〜。
企業が杉野に渡す広告費は、
当然、商品に上乗せされるわけで、
そうすると、私たちのお金がこいつらに渡るのか!?
と思うとイヤ〜な気分になってしまいます。

そして、企業トップとしての杉野はというと、
超超超ワンマンで、イエスマンで固めた上でふんぞり返っています。
朝令暮改、怒鳴り散らし喚き散らし、苦言に聞く耳を持たない。
なんと、田宮さんは取締役になって一週間で
2回も降格させられるんですから。
気分で人事をやられたら、たまったもんじゃありません。
「一流経済紙」を目指したいと立ち上がる田宮や吉田に対して、
サラリーマンの辛さをにじませる川上編集長は哀れに思えます。
利かん気の上司をもつサラリーマンたちには、
共感を呼び、快哉を叫びたくなるお話でしょうね。

モデルは雑誌『経済界』の佐藤正忠ということですが、
登場人物や会社名は、みんなすぐに連想される名前ばかりです。
「曽根田元総理」とかね。
このあいだブックオフで
佐藤さんがお書きになった『信仰は力なり』が
いっぱい並んでいるのを見ました。
あぁこれが!と、ちょっとププッとなりました。

高杉さんの小説を読んでいると、
いつも感じることですが。
女性はいつも、「お茶くみ」係であり、
奮闘する男性主人公の「癒し」係でしかない。
日本社会というのは、オトコで動いてるんだな〜と強く感じるわけです。
ただ、この小説は珍しく、
女性も大きな流れを起こしています。
まぁ、「事件の陰に女あり」的な描き方ですが。

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