人生万事塞翁が馬。 でも、なんだかこんがらがってしまうことが多い日々。
           
恩田陸『光の帝国―常野物語』
2008年06月14日(土) 22:01
光の帝国―常野物語光の帝国―常野物語
恩田 陸

ちびちび的プチ評
    その先を、もう少し読みたい!と思わせる短編集です。

集英社 1997-10
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「常野」の人々を巡る短編集です。
常野(トコノ)とは、
普通の人間にはない「力」を持つ人々が暮らす村でした。
たくさんの書物を記憶する力、
遠くの出来事を見る・聞く力などなど。
とんでもなく長生きな校長先生が出てきたりもします。
彼らは総じて、穏やかで知的な人々で、
「群れることなく、常に在野であれ」
との意味をこめて「常野」と呼んだのだとか。

「力」を磨いている最中の少年の話や、
「力」を封印され、過去を忘れている少女の話、
そしてそれを思い出す話など、
どれも穏やかで優しい物語です。

ちびちびのお気に入りは、「達磨山への道」です。
常野の人々にとっての聖地である達磨山に、
普通の人々が登ると、
人生の転機にある人の目の前には重要なシーンが見えるのです。
子どもの頃、父と一緒に登ったことのある主人公は、
学生時代からの友人を誘って山に向かいます。
そこで彼が見たもの、そしてその意味を考えると・・・。

未来を見るというのは、
ワクワクするようなときめきもあるでしょうが、
見たくないものだって目にしてしまうかもしれません。
悲劇を避けるための予告としてならいいのだけれど。
「常野」の人々が持っているという能力。
それゆえに苦しむ人もいて、
もっと先が読みたくなる。そんなお話でした。
自分のことは自分で
2008年06月12日(木) 22:27
でぶりんは「手」で食事をするのがイヤなんだそうです。
例えば、カレーについているナン。
手でちぎって食べると、汚れるのがイヤ。
そして、焼き魚。
骨をはずすときに手を使うと、汚れるのがイヤ。
だけど、お寿司は手でつまんで食べてます・・・。
矛盾してるやん!

ですが。
我が家の食卓に手巻き寿司の献立はありません。
自分でのっけて巻いて食べると、汚れるのがイヤ。
と、でぶりんが言うので。
焼き魚の場合は、
ちびちびがほぐしたのを、でぶりんが勝手に食べてます。

で、本日。
でぶりんのお知り合いが
北海道からカニを送ってくださることになっていました。
明日は仕事で遅くなるので、
今日しか食べるチャンスがない!
てなわけで、
「早く帰ってきて〜
と、メールが入っていました。
理由はただ一つ。
カニをほじほじすると、汚れるのがイヤだから。

ちびちびが帰宅したのは、8時半ころでした。
すでに夕飯は済ませ、
でも、「カニの分だけ別腹にとってある」と、
待機中のでぶりん。
ちびちびはお腹ぺこぺこですが、まずはカニの準備をはじめました。
足をむしり、包丁で切れ目を入れ、身をほぐし、
甲羅を割って、味噌をだし。
やっと一杯分のカニをほじってテーブルに置き、
手を洗って、殻を捨てて、さぁ食べようと振り返ると。

ないじゃん!!!


カニが!
あんなにがんばってほじほじした身が!
ほとんど誰かさんに食べられてしまった!

ちびちび「誰がほじほじしてあげたと思ってるのよ!」
でぶりん「誰がもらってきたと思ってるんだよ!」

それでもさ・・・。
ちょっとは気を使ってよね、でぶりん!
自分のことは自分でしてください!

白石昌則『生協の白石さん』
2008年06月11日(水) 14:17
生協の白石さん生協の白石さん
白石 昌則
 ちびちび的プチ評
  こういう「余裕」が欲しいですね。

講談社 2005-11-03
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東京農工大学の大学生協に掲示されたひとことカード。
このカードの回答担当者が白石さんです。
ホントなら、
「○○を入荷してほしい」
など、生協へのお願いごとを書くカードなのですが、
白石さんが担当になってから、
生協とは直接関係のない質問が寄せられるようになったのだとか。
その粋な答えを学生がネットに公開して人気となり、
本にまでなったわけです。

この度、サイトを管理していた学生さんが卒業され、
サイトが閉鎖される旨、新聞に載っていました。
しかたのないことではあるけれど、淋しいな〜。

白石さんのユニークな回答とは・・・。

質問:牛を置いて!
回答:ご要望ありがとうございます。
   本日丁度職場会議が開かれたのですが、結果、
   牛は置けない、と決議されました。
   即決でした。申し訳ございません。

質問:愛は売っていないのですか・・・?
回答:どうやら、愛は非売品のようです。
   もし、どこかで販売していたとしたら、それは何かの罠かと思われます。
   くれぐれもご注意ください。

などなど、「宇宙に行きたい」とか、「○○さんに告白したい」とか、
生協とはぜ〜んぜん関係のない質問も多いのですが、
そういったものに対して、
「ふざけないでください!!!
と言ってしまえば、それで終わり。
今の世の中だと、
「おふざけ禁止のために掲示板を管理します!」
なんて発想がでてきそうなのですが、
白石さんの「余裕」のある対応をみると、
「いいもの」が生まれてきそうなきがします。
それは、思いやりだったり、誠実さだったり、優しさだったり。
それこそ人として一番大切なものではないでしょうかね。

サイトの更新は終了したそうですが、
閲覧は今でも可能です。
興味のある方はこちらへ → がんばれ、生協の白石さん!

桐野夏生『OUT』
2008年06月10日(火) 23:20
OUT(アウト)OUT(アウト)
桐野 夏生

ちびちび的プチ評

 とっても息苦しい読み物でした。

講談社 1997-07
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弁当工場で夜勤をしている4人の女性。
元信金OLの雅子は切れ者だけれど、飾り気のない人。
姑を介護しながらぎりぎりの生活をしているヨシエ。
内縁の夫が家出し、サラ金の返済に困っている邦子。
そして、夫の暴力から殺人を犯してしまう弥生。
困った弥生は、事後を雅子に相談し、
雅子はヨシエと共に死体をバラバラにして捨てることを思いつく。
そこに金のニオイをかぎつけて邦子が闖入。
4人は秘密を共有する運命共同体となる。

の、わりに。
お互いを思いやることはあまりなく、
嫌味や当てこすりの台詞も多い。
雅子のしきりに逆切れした邦子の気持ちも分かる気がしますし、
邦子は信用ならないと思う雅子の言動は当然のようにも思える。
普段は仲良しにみえても、
その奥にある女の友情のどす黒い部分が描かれていて、
なんとも息が詰まりました。

4人が4人とも、
「ここではないどこかへ」
の出口を求めていて、
夏の湿気と死体のニオイと追い詰められる焦りとで、
これまた、とっても息苦しい。

雅子は、夫や息子が帰宅すると、
「掃除されて片付いた部屋で、ご飯が出来ている」
と、当然のように思っていることを不思議に感じる。
男の人は会社で大変な思いして帰ってきて、
家の中で癒されればそれでいいものね。
雅子の夫のように、自分だけの城に閉じこもることも可能だし。
でも、ここに登場する女たちは。
ベルトコンベアにのって自分たちが作る弁当と同じ程度にしか、
自分たちの「生」を感じられない。

一線を越えてしまった理由は、
「後で考える」と雅子は言っています。
INからOUTへの一歩は簡単なようで難しく、
超える方も超えられる方も、大きな痛みをともないます。
自分でも分からない衝動によって踏み出してしまった、一歩。
待っているのは、破滅なのか、自由なのか。
読み応えありますが、ちょっとグロい描写もありますんで、ご注意を。


コクーン歌舞伎『夏祭浪花鑑』
2008年06月09日(月) 22:46
友人の紹介があって、
渋谷のシアターコクーンで明日から行われる
コクーン歌舞伎『夏祭浪花鑑』
のゲネプロ(本番前の通し稽古)を見学させてもらいました。

中村勘三郎さんと串田和美さんが
タッグを組んだこの歌舞伎。
一度は見てみたいと思いつつ、なかなかチケットが取れない・・・。
なので、今回はゲネとはいうものの、大喜びだったわけです。

今回の演目は『夏祭浪花鑑』(なつまつりなにわかがみ)で、
大阪、東京、NY、そしてヨーロッパ公演も行ったのだとか。
あらすじは単純ですが、
歌舞伎の様式美とコクーン歌舞伎のダイナミックさを
堪能できる舞台でした。

あらすじ:
放蕩息子の玉島磯之丞は、ふとしたことから殺人の罪を犯してしまいます。
彼を助けるため、
堺の魚売り団七九郎兵衛とその妻のお梶、
侠客の一寸徳兵衛とその女房お辰、
親しい老侠客の釣舟三婦らが力を合わせます。
が、磯之丞の恋人・琴浦に思いを寄せる大島佐賀右衛門が、
団七の舅・三河屋義平次と組んで琴浦を奪おうとする。
彼女を取り戻そうと団七が追ったのですが・・・。

団七を演じるのは、もちろん勘三郎さん。
その息子の勘太郎さんが演じた磯之丞の「坊ちゃま」ぶりが、
とてもかわいらしかったです。
お辰の女っぷりもかっこよく、
エンディングではおおっと驚く趣向もありました。

明日、10日から29日まで、
東京・渋谷のシアターコクーンでの上演です。
楽しめますよ。

bunkamuraのチケット情報はこちら→
 渋谷・コクーン歌舞伎 第九弾 「夏祭浪花鑑」

コクーン歌舞伎の記事はこちら→
   All Aboutコクーン歌舞伎第九弾と欧州公演 1

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