2008年05月05日(月) 21:08
![]() | 明日の記憶 (光文社文庫) 荻原 浩 ちびちび的プチ評: ![]() ![]() ![]() ![]()
誰かと共に生きることの幸せをかみ締めました。 光文社 2007-11-08 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
広告代理店の営業部長を務める佐伯は、
ワーカーホリックで大酒のみだったのですが、
体調がすぐれず病院にかかることになります。
そこで告げられた病名は、若年性アルツハイマー。
まだ50歳だというのに。
まもなく一人娘が結婚するというのに。
そしてすぐに「おじいちゃん」になるところだというのに。
結婚式までは現役でいたいと励む佐伯ですが、
アポを忘れ、会議を忘れ、取引先にたどり着けずに迷子になる。
自分ではまだしっかりしているつもりなのに、
周囲の反応に過敏になり、顔色をうかがってしまう。
誰にでもありうる「うっかりミス」や「ど忘れ」が、
アルツハイマー患者には
こんなにもビクビクしなければならない「事件」になってしまうのだな〜と、
感じます。
患者本人である佐伯の一人称で物語が進むので、
この辺りの焦りや怒りが読んでいて辛いほどです。
愛する家族がいるからこそ頑張ろうとも思いますが、
病気の進行を考えると恐ろしくてたまらなくなる。
記憶を失うことは、自分を失うこと。
その恐怖と闘いながら佐伯は、
何かに怒りをぶつけるわけでもない。
日々、必死に「生」にすがりつく姿が淡々と綴られます。
ラストシーンを読むと。
私は妻の枝実子さんのように、
全てを大きく温かく受け止められるだろうか。
と、考えてしまいました・・・。
重いテーマですが、枝実子さんのおかげで、
希望をちょこっと感じられるラストです。




