人生万事塞翁が馬。 でも、なんだかこんがらがってしまうことが多い日々。
           
恩田陸『ドミノ』
2008年05月30日(金) 22:31
ドミノ (角川文庫)ドミノ (角川文庫)
恩田 陸

 ちびちび的プチ評
  やめられない!止まらない!

角川書店 2004-01
Amazonで詳しく見る
by G-Tools


一億円の契約書の到着を待つ保険会社のOLたち。
契約を取りに千葉まででかけた、その上司。
舞台のオーディションに来て、下剤を盛られた女の子。
ミステリ研究会の次期会長の座を争う大学生たち。
別れを切り出す男と、毒薬をしのばせる女。
待ち合わせ場所にたどり着けず、彷徨うおじいちゃん。
句会のオフ会に向かう警察OB。
次回作の取材にやって来た映画監督とペット。
そして、謎の「試作品」を探す青年。

てんでばらばらのシチュエーションが折り重なって、
東京駅で出逢う時、ドミノが次々と倒れていきます。
そうなったら、もう、止められない!

序盤は、登場人物の状況紹介などがバラバラに続きます。
なにしろ人数が多い上に、舞台もさまざま。
ドミノというよりは、ピンボールマシンを思わせる。
ホントに、てんでバラバラなんですもん。
いったいどうなることかと思いきや。
途中からようやく、少しずつ触れ合い、すれ違いしていき、
全てのベクトルが東京駅に集中していきます。
ここからは、もう一気読みでした。

こんだけたくさんの登場人物がいて、
最後までみんなちゃんと忘れられずにいます。
ちゃんと落ち着くところに落ち着く。(当然ですが)
バイクで東京駅内をかっ飛ばすなんて荒唐無稽ではありますが、
それだけに大いに笑わせてもらいました。
エリコ姉さん、かっこいいです!
篠田節子『インコは戻ってきたか』
2008年05月26日(月) 23:14
インコは戻ってきたか (集英社文庫)インコは戻ってきたか (集英社文庫)
篠田 節子

 ちびちび的プチ評
  内容が盛りだくさんでお腹いっぱいになります。

集英社 2004-05
Amazonで詳しく見る
by G-Tools


女性誌の編集をしている響子は、
「究極のハイクラス・リゾート」の取材で
キプロス島を訪れることに。
でも、一緒に行くはずだったイケメン・カメラマンはおじさんに代わり、
「東地中海の真珠」と呼ばれるはずのリゾート地は、
内戦で不穏な空気が漂う。
それでも、カメラマンの檜山はサクサクと仕事をしてくれ、
いろいろと気遣いもしてくれる。
おかげで、なんとか取材を終えたものの、
紛争地に迷い込んでしまい、身柄を拘束されてしまいます。

39歳の響子は、夫と息子と姑の4人暮らし。
姑には、
「企業戦士の息子が二人いると思ってるの」
と暖かいのか嫌味なのか分からない励ましを受け、
会社ではギャルOL達の尻拭いをし、徹夜作業も引き受ける。
鏡を見ながら
「負けちゃダメ。弱音をはいちゃダメ。」
と自分に喝を入れるあたり、とてもリアル。
こんな経験は、
男女問わず誰にでもあるのではないかと思います。

それでも、やっぱり。
「働くお母さん」は大変だとひしひし感じました。
妻やって、母やって、嫁やって、企業戦士やって、
なおかつ、女でもいたいわけですから。
『女たちのジハード』が20代女性の戦いを描いたものなら、
こちらは30代既婚女性のギリギリ感を見せてくれています。

ただ。
キプロス島の紛争が、響子と檜山の関係を変えていくわけですが、
その政治的・歴史的背景は、
はっきり言って、全然知らない話。
なのでなかなか話しにのれない。
女性誌のハイクラス感を演出したい響子と、
元は報道カメラマンで政治背景が気になる檜山との温度差は
とても分かる気がするのですが、
なかなかストンと腑に落ちるところまでいけないのです。
まぁおかげで、
言葉が通じない異国で、異邦人二人が感じた疎外感は際立って感じます。
そして、この疎外感は、
本来の居場所でも二人が感じているものなのですが。

でも、檜山と過ごした数日が、
ほんの少し響子を変えたラストはとてもせつなかったです。
大きくは変わらない。ほんの少し。
それが同世代の女性として、とてもよく理解できました。




篠田節子『女たちのジハード』
2008年05月25日(日) 23:48
女たちのジハード (集英社文庫)女たちのジハード (集英社文庫)
篠田 節子

 ちびちび的プチ評
  共感するキャラが一人はいそうな「女」の物語です。

集英社 2000-01
Amazonで詳しく見る
by G-Tools


保険会社に勤める5人の女性の物語です。
「お局」扱いされ、自分の城をもつことに奮闘する康子。
玉の輿を狙って女を磨くことにやっきになっているリサ。
有能であるがゆえに肩たたきにあったみどり。
男に振り回されながらも男にすがって生きていく紀子。
英語を武器にキャリアを目指す沙織。

男社会の中で、出世の道なんてまったくなく、
無能な男たちの尻拭いをすることに我慢できなくなる女たち。
それぞれに自立を目指し、
今いる場所からのランクアップを目標に奮闘しています。
キャラクターが
たぶんにステレオタイプな気もしますが、
その分、誰か一人は共感する人物がいそうです。

彼女たちの「戦い」は、
男の人には理解しがたいかもしれません。
そして。
今の20代女性にも、分からないところはあるかも?
逆に、
「こんな時代もあったんだなぁ〜」
と不思議に感じるくらい社会が変わってくれればいいのに、
と思っちゃいますが。

かつて「末端女子社員」と呼ばれた世代のちびちびとしては、
とても面白く読みました。
でも一番の感想は、
「紀子みたいになりたくない!」
だったのですが。
当時の直木賞選考委員の男性方に
一番受けたのは紀子だったのだとか。
う〜ん。
この「違い」が恐ろしい。
これが彼女たちを苦しめてきたんだよな・・・。
それを分かっていない人たちが選考委員てところが、また恐ろしい。


東野圭吾『私が彼を殺した』
2008年05月23日(金) 23:13
私が彼を殺した (講談社文庫)私が彼を殺した (講談社文庫)
東野 圭吾

 ちびちび的プチ評
  犯人がまったくよめなかった!

講談社 2002-03
Amazonで詳しく見る
by G-Tools


結婚式当日。新郎の穂高誠が殺されます。
容疑者は三人。
新婦の兄の神林貴弘。
穂高の仕事仲間である駿河直之。
元カノの雪笹香織。

容疑者それぞれの一人称で章立てされていて、
お互いがお互いを観察し、
追求していく辺りは面白いです。
が。
これ、まったく犯人が分かりませんでした。
袋とじになっている解説を読んで、

「あぁ、そういえば・・・」

という程度の記憶しかない伏線なので、
うううぅぅ。
ちょっと、ズルイ〜!と思っちゃいました。

『どちらかが彼女を殺した』
に登場した加賀刑事が
今回もねちっこい捜査をして犯人を追い詰めていくのですが、
アガサ・クリスティばりに、
全員に殺すチャンスがあると思えば、
一転、全員に殺すチャンスがないことが分かる。
ヒントは「毒入りカプセル」ですが、
それに注意して読んでいても騙されますよ。


坂東眞砂子『満月の夜 古池で』
2008年05月22日(木) 19:53
満月の夜 古池で (角川文庫)満月の夜 古池で (角川文庫)
坂東 眞砂子

 ちびちび的プチ評
  タイトルとは裏腹に、子ども向けのファンタジーです。

角川書店 2006-08
Amazonで詳しく見る
by G-Tools


学校の課外授業で古池動物園にやってきた徹。
林の中で、
「満月の夜、古池で、俺たちは黒鳥になる」
という不思議な声を聞きます。
話していたのは、なんと、カラス。
その後、徹は何度もカラスに襲われ、
逃げ回ることになってしまいます。

おかあさんに話しても相手にしてもらえない。
唯一、助けてくれたおじいさんは殺されてしまい、
とうとう、徹自身がカラスに変えられてしまうのです。
なんとか人間に戻りたい!
でも、カラスの脳はたくさんのことを記憶できません。
だんだんとおかあさんの顔もぼやけてきて・・・。

タイトルからとってもホラーな印象をもっていたのですが、
いやはやとってもファンタジックなお話でした。
環境破壊や経済偏重、人間中心主義を、
動物たちが皮肉るわけで、
子どもでも楽しく読めそうです。
難しい漢字がないので、
徹と同世代の小学生くらいでも大丈夫かも。
オトナには、正直、物足りないかな。



 | HOME |   NEXT>>

Designed by GALPOP BLOG + GALPOP.NET