2007年10月30日(火) 10:45
![]() | 博士の愛した数式 小川 洋子 ちびちび的プチ評: ![]() ![]()
読むたびに、じわじわ感動がわいてきます。 新潮社 2003-08-28 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
交通事故によって脳に障害が残り、
80分しか記憶が保てないという数学者と、
彼の世話をすることになった家政婦親子の物語です。
初めて読んだときには、
博士や家政婦が感動する数字の「美しさ」が
よく分かりませんでした。
ただ、博士の純粋さと、
博士をとても大切に思う親子の愛情が
とても印象的でした。
この時は、
ついつい、クッキーの缶の底に隠された
博士の秘密に目が行ってしまったのですが、
『世にも美しい数学入門』
を読んでからこの本を読み直すと、
「おぉ〜、なるほど、そういうことだったのか」
と、博士がいる世界が少し分かった気がしました。
毎朝会うたびに「初対面」の緊張感がある博士。
何度も電話番号や誕生日や靴のサイズを聞き、
その数字の神秘を語る。
博士にとって、他人とのコミュニケーションの手段は、
数学しかなかったのでしょうね。
でも、何度も同じことを聞かされるのは、
他人にとってはわずらわしいことでしかないはず。
そこを家政婦とその息子のルートは優しく包んでいきます。
静かで穏やかな日常と、
野球と江夏に象徴される動の部分。
この対比がうまくて、読まされました〜。
特に、博士とルートという純粋な者同士の絆は、
ラストシーンにつながっていて、
キラキラと光があたっているような、
とても美しく感じられるシーンでした。




