2007年07月19日(木) 23:23
大好きな作家さん、井上ひさしさんの本を
久しぶりに読み返しました。

浅草橋駅の裏通りを北へ行ったところにある古びた商店街。
鳥越栄町の床屋「あずま床」がお話の舞台です。
あずま床の主人・孝太郎は、通称、孝ちゃん。
ほかに、文房具問屋の徹ちゃん。
かもじ屋(かつら屋さんのこと)の昭ちゃん。
江戸千代紙屋の公ちゃん。
福の湯の徳ちゃん。
そして、春画を描いている画家の雲ちゃん。
同じ年に生まれ、同じように年を取ってきた6人が主人公です。
お互いを「ちゃん」付けで呼び合っていますが、
彼らはみんな59歳というお年。
でも、子どもの頃からそうなので、
いまさら変えようもないのでしょうね。
悪ガキがそのまま年を取っただけで、
未だにスケベで単純で純情な6人に巻き起こる
ドタバタコメディです。
そこに、井上さんお得意の言葉遊び、駄洒落のオンパレード!
くくくっと笑いが止まらなくなりました。
テレビ出演を依頼されたと思ったら、
とんでもないどんでん返しが待っていて、
町内の人と顔を合わせられなくなってしまう。
ガム売りの少女を助けたつもりが、
スケベ心を出したために罠にはまる。
レズビアンの居候を懸命に理解し、
受け入れたつもりでいたら、あら、肩すかし。
そして彼らのアイドルともいえる、
柳橋芸者の小春のために(というか、彼女のお宝のために)、
仙台まで出張っていく件には、
ちょっとホロリとさせられました。
舞台が浅草の商店街というディープな設定なので、
もちろん、人情噺的ではあるのですが、
どうも一言ではそうと言い切れない部分もあります。
彼ら6人にとって、生きるとは、
「正月には葉書や手拭を持って近所を年賀に歩き、
桜が咲けば花見に誘って歩き、
泥棒が入れば助けを求めて叫んで歩き、
うれしいことがあれば吹聴して歩き、
辛いことがあればこぼして歩きという具合に、
とにかく近所とつきあって歩き回ること」
でした。
が。
孝ちゃんが娘宅に世話になったとき、
新興住宅地のご近所さんは、
雨が降っても声を掛け合うこともない。
下手に声をかければ、白い目で見られてしまう。
そんな街に嫌気がさして、
孝ちゃんは鳥越へ戻ってくるのですが、
いっかな鳥越でも、彼らは時代に遅れている。
その「遅れ」を本人たちは気付いているのか、いないのか。
作者の突き放した笑いが聞こえるようでもありますし、
自虐ネタにも読めます。
初老6人組の滑稽な姿。
でも、哀れでも、陳腐でもありません。
何も考えず、笑えばいいかな。
久しぶりに読み返しました。

![]() | 浅草鳥越あずま床 (1975年) 井上 ひさし ちびちび的プチ評: ![]() ![]()
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浅草橋駅の裏通りを北へ行ったところにある古びた商店街。
鳥越栄町の床屋「あずま床」がお話の舞台です。
あずま床の主人・孝太郎は、通称、孝ちゃん。
ほかに、文房具問屋の徹ちゃん。
かもじ屋(かつら屋さんのこと)の昭ちゃん。
江戸千代紙屋の公ちゃん。
福の湯の徳ちゃん。
そして、春画を描いている画家の雲ちゃん。
同じ年に生まれ、同じように年を取ってきた6人が主人公です。
お互いを「ちゃん」付けで呼び合っていますが、
彼らはみんな59歳というお年。
でも、子どもの頃からそうなので、
いまさら変えようもないのでしょうね。
悪ガキがそのまま年を取っただけで、
未だにスケベで単純で純情な6人に巻き起こる
ドタバタコメディです。
そこに、井上さんお得意の言葉遊び、駄洒落のオンパレード!
くくくっと笑いが止まらなくなりました。
テレビ出演を依頼されたと思ったら、
とんでもないどんでん返しが待っていて、
町内の人と顔を合わせられなくなってしまう。
ガム売りの少女を助けたつもりが、
スケベ心を出したために罠にはまる。
レズビアンの居候を懸命に理解し、
受け入れたつもりでいたら、あら、肩すかし。
そして彼らのアイドルともいえる、
柳橋芸者の小春のために(というか、彼女のお宝のために)、
仙台まで出張っていく件には、
ちょっとホロリとさせられました。
舞台が浅草の商店街というディープな設定なので、
もちろん、人情噺的ではあるのですが、
どうも一言ではそうと言い切れない部分もあります。
彼ら6人にとって、生きるとは、
「正月には葉書や手拭を持って近所を年賀に歩き、
桜が咲けば花見に誘って歩き、
泥棒が入れば助けを求めて叫んで歩き、
うれしいことがあれば吹聴して歩き、
辛いことがあればこぼして歩きという具合に、
とにかく近所とつきあって歩き回ること」
でした。
が。
孝ちゃんが娘宅に世話になったとき、
新興住宅地のご近所さんは、
雨が降っても声を掛け合うこともない。
下手に声をかければ、白い目で見られてしまう。
そんな街に嫌気がさして、
孝ちゃんは鳥越へ戻ってくるのですが、
いっかな鳥越でも、彼らは時代に遅れている。
その「遅れ」を本人たちは気付いているのか、いないのか。
作者の突き放した笑いが聞こえるようでもありますし、
自虐ネタにも読めます。
初老6人組の滑稽な姿。
でも、哀れでも、陳腐でもありません。
何も考えず、笑えばいいかな。




