人生万事塞翁が馬。 でも、なんだかこんがらがってしまうことが多い日々。
           
浅田次郎『憑神』
2007年06月26日(火) 22:28
「映画がよかったよ〜」という友人に薦められて、
浅田次郎さんの『憑神』を読んでみました。

憑神憑神
浅田 次郎

 ちびちび的プチ評
 コミカルでありながら、武士道を貫く主人公の姿が潔かった。

新潮社 2005-09-21

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主人公の別所彦四郎は、聡明で正義感が強く、
忠義孝をわきまえ、文武両道の貧乏侍です。
婿入り先を追い出され、職はなく、小遣いもない。
「どうか出世して、妻子と共に暮らせますように」
と手を合わせた祠が「三巡稲荷」という怪しいもの。
おかげで「神様」に憑かれるわけですが、
カミはカミでも・・・といった感じで、
軽〜く読めるコミカルな時代小説です。

正義感が強いけれど時代からずれている主人公。
お馬鹿だけれどすんごい神力を持つ仲間。
口達者でお調子者の屋台のオヤジ。
浅田作品おきまりともいえるキャラクターのところに
次々とやってくるカミサマが笑えます。
それをまた、
鼻持ちならない役人やヘタレな兄がまぜっかえしてくれる。

話はリズムカルだし、笑いながらも締めるところは締めて、
ではあるのですが。
浅田作品は、ちびちび的に笑いとイライラが半々です。
この「軽さ」なのかな。
笑わせてくれるのはいいのだけれど、
ちょっとしつこい感じがするのです。

でも。最後まで読んで、ちょっと考えさせられました。
小説の時は幕末で、しかも黒船来航から大政奉還の頃です。
800年続いた武士の時代が終わりを迎え、
しかもやっかいなカミに憑かれた彦四郎は、
武士としての「死に場所」を求めます。

260余年続いた太平を貪って、矜りを失った武士。
変化したのは時代なのか、武士なのか。
三河安祥の時代より徳川家の家臣として仕えた父祖の歴史。
個は家に仕え、家が家に仕える。
そして自分は、日本人である前に武士である。
薩長や勝たちが新しい国を造るのは結構。
しかし。
この時代も悪くはなかったと叫ぶのが自分の役割では・・・。

これって。
なんだか「今」の時代みたい。

時代遅れなものは捨て去り、
新しい時代に合うものを創ろうではないか。

そのまま、自民党のポスターになりそうですね。

彦四郎は、古い時代に殉じ、新しい時代の礎となります。
仲間やカミの諫言に耳を貸さず、
自分で時代の幕引きを選び、出陣する姿はアッパレ!です。
古くても、いいものはいいと残したい。
その決断ができる勇こそ武士道なのかな、と思いました。





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