人生万事塞翁が馬。 でも、なんだかこんがらがってしまうことが多い日々。
           
山本一力『大川わたり』
2007年06月17日(日) 21:47
山本一力さんの処女作『大川わたり』です。
あとがきには、
「生まれて初めて最後まで書きとおした小説」
とありました。

大川わたり大川わたり
山本 一力
 
 ちびちび的プチ評
 熱気ただよう青春小説です。

祥伝社 2001-12
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子どもの頃、一家離散に遭ってしまった銀次は、
大工の親方に面倒をみてもらって修行をしたものの、
許婚にふられ、酒場の女に騙され、
賭場に20両の借金を負ってしまいます。
そして賭場の親分・猪之介に宣告されるのです。

「二十両をけえし終わるまでは、大川を渡るんじゃねえ。
一歩でも渡ったら、始末する」

生まれた町を離れ、
唯一知っている街だった深川を追われ、大川を渡ります。
その橋の向こうの、なんと遠いことか!

その後、銀次は、
度胸をつけたいと弟子入りした師範のもとで修行し、
老舗の呉服屋へ手代として勤めることになります。
大工さんから手代?
かなり意外な気がするのですが、
根が正直で素直な銀次は、主や番頭にも気に入られ、
小僧や女中とも仲良くなり・・・。
とすると、当然、やっかみも受けてしまうわけです。
そこに上手に付け込んでくるヤツがいて、
となるわけですが、
ラスト近くのどんでん返しがおもしろい!
まんまとはまりました。

銀次をとりまく大人たちがステキです。
猪之介親分、道場の師範、呉服屋の主や番頭、
みな温かく銀次の成長を見守ります。
家族との縁が薄く、自分が関わることで人を不幸にしてしまう。
と悩む銀次ですが、
お世話になった方への感謝の気持ちだけは、
いつも忘れないのです。
青臭い感じもしますし、
現実には「正直者はバカをみる」ことの方が多いのかもしれません。
でも、だからこそ。
小説では「お伽話」を読みたい。

ハッピーエンドに終わるだろうと予測は立ちましたが、
銀次の「自分への戒め」だけは残す辺りが、
一力さんだなぁという感じでした。

この小説のタイトルにもなっており、
時代小説には必ずといっていいほど登場する「大川」。
今の東京にこの名前で呼ばれている河はないので、
いったいどれのことを指すのだろうと調べてみました。
なんだ、「隅田川」のことでした。

viva!edoのサイトには、
大川の橋の話や長屋の見取り図などがありました。
参考までに、どうぞ。



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