2007年10月19日(金) 14:31
![]() | 西の魔女が死んだ (新潮文庫) 梨木 香歩 ちびちび的プチ評: ![]() ![]()
生きること、死ぬことに対して誠実な人たちのお話です。 新潮社 2001-07 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
中学生のまいとおばあちゃんの
ひと夏をきれいに丁寧に綴ったお話です。
母親から「魔女」と呼ばれているおばあちゃん。
学校へ行く気がしないというまいは、
おばあちゃんに預けられることになり、
彼女から
魔女の手ほどきを受けることになります。
これが「生きる」ことに対する態度そのものなのです。
夏休みの課題図書になりそうな優しい本ですが、
大人が読んでも心にググッとしみる。
感受性が豊かなまいは、
毎日いろんな発見をし、感動し、傷ついていく。
「死」だって避けて通ることはしません。
おばあちゃんは子ども扱いするのではなく、
ただただ、まいを見守るだけ。
中学生には難しい選択では?
と思うようなこともあり、
冷たく突き放しているようにも感じられますが、
これがおばあちゃん流「魔女修行」なのだなぁと、
最後になって分かるのです。
おばあちゃんが、
まいとの小さな約束を忘れずにきちんと果たしてくれる辺り、
人としての誠実さと、
真剣に生きた人の強さを感じることができました。
言葉の一つ一つが、とても暖かいので、
おばあちゃんの箴言集といった感もあります。
人間関係にストレスを感じている人には、
特にお奨めします。
2007年07月08日(日) 21:32
「ほんの100年少し前」の物語『家守綺譚』を読みました。
梨木さんの小説はどれも、
とても心優しい物語で大好きです。
全作品制覇に向け、本探し中。
これもようやく見つけて、あっという間に読了しました。
亡くなった友人の父から頼まれて、
古い家の住み込み管理人=家守となった綿貫征四郎。
家の掛け軸からは、
亡くなったはずの友人・高堂があらわれ、
小鬼、人魚、河童などいろんな生き物が登場します。
彼を訪ねてくるのは、
隣のおばさん、お寺の和尚、薬屋、後輩の山内。
「生」あるものと、「異界」のもの、
その橋渡し的役目をしているのが犬のゴローです。
征四郎は、明治時代の田舎町で、
文章を書きながら貧乏生活をしています。
「精神労働者」との表現がありますが、
彼の心のアンテナは広くて、しかも柔軟。
掛け軸からボートに乗って友人がやってきても、
かける言葉が
「逝ってしまったのではなかったのか」
ですもん。
「異界」を怖がらずに受容することで、
世界は広がっていくのでしょうね。
毎日、ブラブラ散歩して、昼寝して、和尚と碁を打って、
狸にばかされたり、百日紅に惚れられたり。
昨今、流行の「スローライフ」を地で行くような征四郎。
決して、なにか積極的に行動をとる人ではありません。
で。
ちびちびは征四郎のような人を見ると、
ついつい構いたくなってしまいます。
ううっ、お節介の虫がうずく〜
でも、ちょうどいい加減で距離感を保つというのは、
ホントに難しいことだなと思います。
征四郎と高堂の友情、ゴローとの信頼関係を見ながら、
そう実感しました。
この本、章のタイトルは、
すべて草木の名前になっています。
知らない花もあったので、図書館の図鑑で調べました。
こういうのもまた、楽しい時間です。
梨木さんの小説はどれも、
とても心優しい物語で大好きです。
全作品制覇に向け、本探し中。
これもようやく見つけて、あっという間に読了しました。
![]() | 家守綺譚 梨木 香歩 ちびちび的プチ評: ![]() ![]()
琵琶湖湖畔が舞台の不思議小説です。 新潮社 2004-01 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
亡くなった友人の父から頼まれて、
古い家の住み込み管理人=家守となった綿貫征四郎。
家の掛け軸からは、
亡くなったはずの友人・高堂があらわれ、
小鬼、人魚、河童などいろんな生き物が登場します。
彼を訪ねてくるのは、
隣のおばさん、お寺の和尚、薬屋、後輩の山内。
「生」あるものと、「異界」のもの、
その橋渡し的役目をしているのが犬のゴローです。
征四郎は、明治時代の田舎町で、
文章を書きながら貧乏生活をしています。
「精神労働者」との表現がありますが、
彼の心のアンテナは広くて、しかも柔軟。
掛け軸からボートに乗って友人がやってきても、
かける言葉が
「逝ってしまったのではなかったのか」
ですもん。
「異界」を怖がらずに受容することで、
世界は広がっていくのでしょうね。
毎日、ブラブラ散歩して、昼寝して、和尚と碁を打って、
狸にばかされたり、百日紅に惚れられたり。
昨今、流行の「スローライフ」を地で行くような征四郎。
決して、なにか積極的に行動をとる人ではありません。
で。
ちびちびは征四郎のような人を見ると、
ついつい構いたくなってしまいます。
ううっ、お節介の虫がうずく〜
でも、ちょうどいい加減で距離感を保つというのは、
ホントに難しいことだなと思います。
征四郎と高堂の友情、ゴローとの信頼関係を見ながら、
そう実感しました。
この本、章のタイトルは、
すべて草木の名前になっています。
知らない花もあったので、図書館の図鑑で調べました。
こういうのもまた、楽しい時間です。
2007年07月04日(水) 21:57
『りかさん』の主人公・ようこが成長して、
蓉子となって登場するのが、この『からくりからくさ』です。
蓉子は染色家の先生に弟子入りして、
植物の染物をしています。
亡くなったおばあちゃんの家を取り壊すのは忍びないと、
蓉子が管理人となって下宿人を募ります。
そして、織物研究をしている与希子と機織りをする紀久の学生2人、
鍼灸師になるため留学してきたマーガレットの
4人で暮らし始めるのです。
もちろん、「りかさん」も一緒。
でもこのりかさんに対する態度は、
マーガレットには理解不能なのです。そりゃ、そうでしょうね。
若い女性4人での暮らし、というと、
毎日が修学旅行みたいで楽しそう!と思いますが、
この4人は違います。
「雑草イーター」とマーガレットが呼ぶほどに、
つましい生活。
でも、おばあちゃんが大切にしてきた家を受け継ぐ暮らしぶりや、
蓉子が染めた糸を織り上げる紀久の機の音など、
地道なていねいな暮らしの風景が、
とてもていねいに綴られています。
4人の性格、能力などすべてが、
横糸・縦糸になって、
一枚の布に織り上げられていくような感じです。
それぞれ全く違う性格をしているのですが、
お互いを否定するようなことは決してない。
確固とした自己があるからこそ、
他人も認めることができるのでしょう。
そして、女がキャリアを積んでいく上での葛藤や、
三角関係、思わぬ妊娠・・・と、
女性が女性として生きる道に起きる事柄が、
折り重なっていくのです。
実は彼女たちには、本人も知らないような深い縁があり、
今になってようやく結びついた。
逢うべくして逢った、
命の奇跡のお話でもあるような気がします。
この本を読んでから、
『りかさん』文庫版に収録されている
「ミケルの庭」を読むと、
ミケルが認知していく世界を
こちらも一緒に再認識していくようで、味わい深いですよ。
染物、織物や世界各地の紋様の話など、
手仕事に興味のある方なら、
その辺りもおもしろいと思います。
クライマックスで催される
蓉子たちの共同作品展。そしてそこに飾られるりかさんの姿は、
ぜひ映像作品として観てみたいな〜。
ちょっと、りかさんに泣いてしまいそう。
蓉子となって登場するのが、この『からくりからくさ』です。
![]() | からくりからくさ 梨木 香歩 ちびちび的プチ評: ![]() ![]()
日々の暮らしをていねいに送ることが、 どれだけ大変で大事なことか。本書を読むとよく分かります。 新潮社 2001-12 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
蓉子は染色家の先生に弟子入りして、
植物の染物をしています。
亡くなったおばあちゃんの家を取り壊すのは忍びないと、
蓉子が管理人となって下宿人を募ります。
そして、織物研究をしている与希子と機織りをする紀久の学生2人、
鍼灸師になるため留学してきたマーガレットの
4人で暮らし始めるのです。
もちろん、「りかさん」も一緒。
でもこのりかさんに対する態度は、
マーガレットには理解不能なのです。そりゃ、そうでしょうね。
若い女性4人での暮らし、というと、
毎日が修学旅行みたいで楽しそう!と思いますが、
この4人は違います。
「雑草イーター」とマーガレットが呼ぶほどに、
つましい生活。
でも、おばあちゃんが大切にしてきた家を受け継ぐ暮らしぶりや、
蓉子が染めた糸を織り上げる紀久の機の音など、
地道なていねいな暮らしの風景が、
とてもていねいに綴られています。
4人の性格、能力などすべてが、
横糸・縦糸になって、
一枚の布に織り上げられていくような感じです。
それぞれ全く違う性格をしているのですが、
お互いを否定するようなことは決してない。
確固とした自己があるからこそ、
他人も認めることができるのでしょう。
そして、女がキャリアを積んでいく上での葛藤や、
三角関係、思わぬ妊娠・・・と、
女性が女性として生きる道に起きる事柄が、
折り重なっていくのです。
実は彼女たちには、本人も知らないような深い縁があり、
今になってようやく結びついた。
逢うべくして逢った、
命の奇跡のお話でもあるような気がします。
この本を読んでから、
『りかさん』文庫版に収録されている
「ミケルの庭」を読むと、
ミケルが認知していく世界を
こちらも一緒に再認識していくようで、味わい深いですよ。
染物、織物や世界各地の紋様の話など、
手仕事に興味のある方なら、
その辺りもおもしろいと思います。
クライマックスで催される
蓉子たちの共同作品展。そしてそこに飾られるりかさんの姿は、
ぜひ映像作品として観てみたいな〜。
ちょっと、りかさんに泣いてしまいそう。
2007年07月03日(火) 23:10
大人が読んでも楽しいファンタジー小説
梨木香歩さんの『りかさん』。
おひな祭りのプレゼントに「リカちゃん人形」を
おねだりしたようこでしたが、
おばあちゃんから贈られてきたのは、
黒髪の市松人形。
その人形の名前が「りかさん」というのです。
ひそかにがっかりするようこですが、
おばあちゃんやお母さんを悲しませてはいけないと気を使います。
この子供心が切ない。
子どもってホントに敏感に大人の心を察しますもんね。
で、このりかさん。
なんと説明書もついているのです。
朝は髪をとかして着替えをさせ、
ようこの食べるものを少しずつ分けてあげ、
夜になると寝巻きに着替えさせる。
おばあちゃん曰く、
「りかさんを幸せにする責任がある」
とのことなのです。
この言葉の意味は、
りかさんと心が通わせられるようになったようこの、
人形をめぐる事件で明らかになっていきます。
世の中には、なんと不憫な人形の多いことか・・・。
生身の人間の身代わりに、
さまざまな「思い」を引き受けてくれる人形。
たくさんの種類の人形が登場するので、
それを読んでいるだけでも楽しいです。
そしてそんな人形たちの辿ってきた歴史と思いを
代弁する形となるおばあちゃんの言葉が、
しんみりと心に沁みてきます。
ちびちびが子どもの頃、
大事にしていたのは「トラ吉」というぬいぐるみでした。
名前の通り、トラでしたが、
今思うと、猫だったのかも。
なぜか子どもの頃も、今も、
「人の形」をしたものは怖くて近づけません。
だから逆に、
この本を読んで気付いたのです。
「声」が聞こえそうな気がしたからかも、と。
『りかさん』に登場するようこが成長して、
『からくりからくさ』というお話に続いていきます。
そして『からくりからくさ』の続編である
『ミケルの庭』は、
『りかさん』の文庫版に収録されています。
あっちゃこっちゃ行ってしまいますが、
どこから読んでも楽しめますよ。
梨木香歩さんの『りかさん』。
![]() | りかさん 梨木 香歩 ちびちび的プチ評: ![]() ![]()
とっても優しい気持ちになれるお話です。 新潮社 2003-06 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
おひな祭りのプレゼントに「リカちゃん人形」を
おねだりしたようこでしたが、
おばあちゃんから贈られてきたのは、
黒髪の市松人形。
その人形の名前が「りかさん」というのです。
ひそかにがっかりするようこですが、
おばあちゃんやお母さんを悲しませてはいけないと気を使います。
この子供心が切ない。
子どもってホントに敏感に大人の心を察しますもんね。
で、このりかさん。
なんと説明書もついているのです。
朝は髪をとかして着替えをさせ、
ようこの食べるものを少しずつ分けてあげ、
夜になると寝巻きに着替えさせる。
おばあちゃん曰く、
「りかさんを幸せにする責任がある」
とのことなのです。
この言葉の意味は、
りかさんと心が通わせられるようになったようこの、
人形をめぐる事件で明らかになっていきます。
世の中には、なんと不憫な人形の多いことか・・・。
生身の人間の身代わりに、
さまざまな「思い」を引き受けてくれる人形。
たくさんの種類の人形が登場するので、
それを読んでいるだけでも楽しいです。
そしてそんな人形たちの辿ってきた歴史と思いを
代弁する形となるおばあちゃんの言葉が、
しんみりと心に沁みてきます。
ちびちびが子どもの頃、
大事にしていたのは「トラ吉」というぬいぐるみでした。
名前の通り、トラでしたが、
今思うと、猫だったのかも。
なぜか子どもの頃も、今も、
「人の形」をしたものは怖くて近づけません。
だから逆に、
この本を読んで気付いたのです。
「声」が聞こえそうな気がしたからかも、と。
『りかさん』に登場するようこが成長して、
『からくりからくさ』というお話に続いていきます。
そして『からくりからくさ』の続編である
『ミケルの庭』は、
『りかさん』の文庫版に収録されています。
あっちゃこっちゃ行ってしまいますが、
どこから読んでも楽しめますよ。







