人生万事塞翁が馬。 でも、なんだかこんがらがってしまうことが多い日々。
           
東野圭吾『私が彼を殺した』
2008年05月23日(金) 23:13
私が彼を殺した (講談社文庫)私が彼を殺した (講談社文庫)
東野 圭吾

 ちびちび的プチ評
  犯人がまったくよめなかった!

講談社 2002-03
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結婚式当日。新郎の穂高誠が殺されます。
容疑者は三人。
新婦の兄の神林貴弘。
穂高の仕事仲間である駿河直之。
元カノの雪笹香織。

容疑者それぞれの一人称で章立てされていて、
お互いがお互いを観察し、
追求していく辺りは面白いです。
が。
これ、まったく犯人が分かりませんでした。
袋とじになっている解説を読んで、

「あぁ、そういえば・・・」

という程度の記憶しかない伏線なので、
うううぅぅ。
ちょっと、ズルイ〜!と思っちゃいました。

『どちらかが彼女を殺した』
に登場した加賀刑事が
今回もねちっこい捜査をして犯人を追い詰めていくのですが、
アガサ・クリスティばりに、
全員に殺すチャンスがあると思えば、
一転、全員に殺すチャンスがないことが分かる。
ヒントは「毒入りカプセル」ですが、
それに注意して読んでいても騙されますよ。


東野圭吾『どちらかが彼女を殺した』
2008年01月12日(土) 22:01
どちらかが彼女を殺した (講談社文庫)どちらかが彼女を殺した (講談社文庫)
東野 圭吾

 ちびちび的プチ評
  究極の犯人探し? 消化不良にご注意を。
講談社 1999-05
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愛知県警豊橋署に勤務する和泉康正は、
東京に住む妹・園子から不審な電話を受けます。
アパートへ行ってみると、園子は亡くなっていた!
一見、自殺に見えるけれど、そこは警察官。
おかしな点をいっぱい発見します。
妹は誰かに殺されたと確信し、
康正は一人で犯人探しを始めます。

容疑者は二人。
園子の元恋人と、学生時代からの親友。
完璧なアリバイと口裏あわせ。
そして、園子の自殺を疑うもう一人の人物・加賀刑事。
ストーリーが二転三転して、
こっちが犯人だ!と思ったら、
それをひっくり返す証言が出てきて、
じゃあ、こっちか!?と思ったら、
やっぱり自殺かもしれない、となる。
さぁ、殺したのは、だれ?
と、最後まで「犯人」が特定されません。
読む者が推理しろということです。

最近、東野さんにはまっている友人のエスパー子が読んで、
「犯人がわかんな〜い」
と、ちびちびに貸してくれました。
分かるように解説して欲しい、とのこと。
で、読んでみて。
ちゃんと書いてあるじゃん、ヒントが。
何気なく、さらっとした流れの中の記述なので、
気付かない可能性もあるかもしれませんね。

この小説は単行本で発行されたときには、
袋とじで謎解きの解説がついていたんだそうです。
が、文庫化にあたって、それは削除されちゃったのだとか。
なんでそんなことすんの〜!?

エスパー子のように、「犯人はだれ?」となった方、
こちらのブログが参考になるかと思います。
が、ネタバレありなので、まずは本を読んでから、ね。

てんぐさんのブログ
 http://rojiuranote.jugem.cc/?mode=comment



東野圭吾『夜明けの街で』
2007年11月04日(日) 22:43
夜明けの街で夜明けの街で
東野 圭吾

 ちびちび的プチ評
  本編を読んだ後の番外編が抜群におもしろい!

角川書店 2007-07

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「不倫するやつなんて馬鹿だと思っていた」
という渡部は、妻と娘一人の3人暮らしです。
マンションを買って、会社では主任となり、
もうオトコではなくオヤジなんだと友だちからも諭される日々。
そんな彼の会社に派遣社員として仲西秋葉がやってきます。

結婚を前提としてしか付き合いはしない。
浮気をしたら殺します。

平然と言い切る秋葉に、
当然、周囲の男たちは引いちゃってます。
でも意外なところで渡部と秋葉はでくわし、
不倫の関係に陥ってしまう。
大いに盛り上がった渡部は、
サンタにならなければならないクリスマスに、
なんとかデートをしたいと画策する。

ふーん。
結婚は男にとって墓場なんだな〜。
不倫する男の心情ってこうなんだな〜。
これは男の側からの「言い訳」な気もします。
男の人なら共感できる話なんですかね?
それもイヤだな・・・。

当初はちょっとエキセントリックに思えた秋葉は、
愛人としてはやけに聞き分けがいい。
でも実は、
まもなく時効を迎える殺人事件の容疑者だったのです。
ほんとうに秋葉が殺したのか。
それでも、自分は彼女と結婚したいのか。
若い女の子とラブラブ気分をさんざん楽しんだ後、
守りに入る男の狡さはするどい描写です。
が。
しょせん、男の嘘は女には通用しない。
女の計算も、男には見抜けない。
女が、というより、
妻という座にある女のしたたかさには「うっ」となりました。

でも、この本で本当におもしろかったのは、
番外編として収録されている「新谷君の話」でした。
新谷君は、渡部の大学時代の友人で、
秋葉にのめりこんで離婚を考える渡部を
必死で止めようとします。
やけにリアルな台詞が出てくるなと思ったら、
新谷君には新谷君の事情があったんですね。
こちらは、現実にもありそうなドラマティックなお話です。
不倫しちゃう前に一読するのがいいかも。







東野圭吾『レイクサイド』
2007年09月26日(水) 10:52
レイクサイドレイクサイド
東野 圭吾

 ちびちび的プチ評
  2時間で読めます。でも圧迫感はちゃんと感じられそう。

実業之日本社 2002-03-16

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子どもの「お受験合宿」のため、
湖畔の別荘に集まった4組の家族。
なんと、塾の先生まで付いています。
遅れて到着した並木俊介は、お受験には乗り気でないものの、
合宿には別の目的がありました。
そこへ、
俊介の部下・高階英里子が忘れ物を届けに来ます。
誘われるまま、みんなと夕食を共にし、
近くのホテルで落ち合うはずでした。
が、英里子は現れない。
別荘へ戻ってみると、
彼女は頭を殴られ、死んでいたのです。
おまけに、妻の美菜子が言います。

「あたしが殺したのよ」

愛人から離婚をせまられ、カッとなったという、
ありきたりの理由。
事件の隠蔽に積極的に協力する他の家族たち。
事態を一度は飲み込もうとする俊介でしたが、
徐々に、疑問を抱いていくのです。

「お受験」に関連して、
子どもが殺される事件なんかもありましたが、
うーん、この辺りは正直、ちょっと理解できません。

「そこまでやるか!?」

という気もしますし、

「子どものためなら、なんだって!」

なのかもしれないな、とも思いますし。

ここが理解できないと、
殺人の理由が分かりませんし、
大きな嘘をかくすために
小さな嘘を積み重ねていることも分からなくなる。
でも、真相は意外なところからやってくるんですけどね。

この小説でおもしろいのは、
俊介の行動や見たものが淡々と語られていることです。
そこで彼が何を思い、何に気付いたのかは、
読む側に任されています。
舞台劇にしたら、おもしろいかも、と思ったら。
映画化されてたんですね。ちっとも知らなんだ。

東野圭吾『手紙』
2007年08月18日(土) 13:24
友人のエスパー子が
東野圭吾さんの「暗さ」にはまっています。
すすめられて何冊か読んでますが、
この本は「暗い」というより「重い」。

手紙手紙
東野 圭吾

 ちびちび的プチ評
  家族、差別、犯罪、道徳、いろいろと考えさせてくれました。

毎日新聞社 2003-03
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弟の直貴を大学に進学させたい。
そのためのお金を盗もうとして失敗、
強盗殺人犯となった兄の剛志。
兄の過ちは、弟の人生をも破壊してしまうのです。

生活のために始めたバイトは、
兄のことが知れてから居心地が悪くなる。
音楽と出逢い、仲間ができますが、
プロの声がかかった時点で、断念。
初めて愛する女性ができたけれど、
彼女の両親に引き裂かれる。
就職して張り切っていたところで、配置転換。

どんどんと卑屈になる直貴の元に、
一ヶ月に一度、刑務所から兄の手紙が送られてきます。
かつては仲良し兄弟だった彼らです。
両親を亡くし、兄弟だけで生きてきて、
ただただ弟を大学に進学させることだけが
生きがいだった兄にとって、
弟の近況は心配で気がかりでたまらないはず。
そして、兄にとっては唯一の楽しみなのでしょう。
でもそれが弟におよぼす影響を知るよしもない。

「強盗殺人犯の弟だ」と、
表立って直貴を指差す人はいませんが、
就職先の平野社長の態度は少し違います。
彼の言葉を受けて、直貴は変わろうとするのですが、
そこにまた立ちはだかる差別の壁。
しかも、妻と娘にまで・・・。

罪を犯す者は、自分の人生だけでなく、
家族の人生も破壊することを知っておかなくてはならない。

と、平野社長は言います。
そんなことを考えられるくらいなら、
衝動的な暴力なんて起きることはないでしょう。
ただ。
「カッとした」状況でも自分を落ち着かせる方法は、
普段から見つけられると思うのです。
「おまじない」のようにそれを身に着けておけば、
こんな悲劇は見なくて済むのではないかしら。

差別はダメだ、と言いながら、
決して差別がなくなることがない社会。
それはちびちび自身が体験しています。
「道徳的に正しい」だけでは生きられないのが人間なのでしょう。
ジョン・レノンの「イマジン」が、
本のテーマに寄りそっていて、涙を誘いました。

こちらは映画版です。
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