人生万事塞翁が馬。 でも、なんだかこんがらがってしまうことが多い日々。
           
山田宗樹『嫌われ松子の一生』
2008年05月03日(土) 22:41
嫌われ松子の一生 (幻冬舎スタンダード)嫌われ松子の一生 (幻冬舎スタンダード)
山田 宗樹

 ちびちび的プチ評
  壮絶な人生を一気読み!でも読後感は重いです。

幻冬舎 2003-07
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東京の下町、おんボロアパートの一室で、
女性の遺体が発見されます。彼女の名は、川尻松子。
松子の甥の笙は、恋人と共に部屋の整理を任されてしまいます。
さきほどまで伯母の存在すら知らされていなかったのに。
いったい、どんな人だったんだろう?
興味津々の恋人に引きずられるようにして、
松子の人生と死の謎を追い始めた笙。
彼の知った事実と、松子の人生が交互に描かれる形で物語が進みます。

国立大学を卒業して教師となった松子。
でも校長のセクハラにあい、
盗難事件に巻き込まれ、退職せざるをえなくなります。
家を出て、好きな男と暮らせるようになったと思ったら、
ソープ嬢となり、ついには殺人を犯してしまいます。

なんでこの人の人生、こんなにツキがないんだろう。

これが、一番の感想でした。
幸せをつかみかけたとたんに次のドミノが倒れ、
やり直そうとしたとたんに殺されてしまうんだもん。
タイトルから、もっとイヤ〜なタイプの女の話かと思ったら、
頭もよく、器用で、努力も怠らない。
そんな松子なのに、この結末。

一つには、男を見る目がなかったこと。
一つには、彼女を支えてくれる人がいなかったこと。

激しい人生だけれど、
とても大事なものが抜け落ちていた気がします。
で。
松子の人生だけを描くのではなく、
現代っ子そのものの笙とその恋人が登場する辺りが、
物語に深みを与えてくれています。

ちびちびだって松子のように転ぶかもしれない。
今のちびちびでいられるのは、
単にラッキーだっただけかもしれない。
ただ。
家族や友人といった周囲の愛情に感謝だな〜と感じたのでした。

米村圭伍『紀文大尽舞』
2007年11月03日(土) 21:36
紀文大尽舞 (新潮文庫)紀文大尽舞 (新潮文庫)
米村 圭伍

 ちびちび的プチ評
  小太りで大食らいのお夢ちゃんですが、軽快に走り回ります。

新潮社 2006-05
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いつも山本一力さんの作中でお目にかかる紀伊国屋文左衛門。
他の人が描くとどうなるのだろうと、
初めて米村圭伍さんの本を読んでみました。
これがまた意外に軽快なお話で、
ニヤニヤしながらあっという間に読み終えました。

主人公のお夢は、戯作者を志す風呂屋の娘です。
嫁に行くにはとうが立ちすぎたと言われ、
女の書いた本なんかで芝居ができるかと言われ、
それでも決して負けたりなんかしない。
団子を3皿ほど食べれば
ケロッと忘れちゃうところがかわいい。
世間をあっといわせる本を書きたいと、
紀伊国屋文左衛門を題材に選びます。

すでに隠居して吉原通いをしながら遊び暮らす紀文を付け回し、
成功談を聞きだそうとするのですが、
全く相手にされません。
逆に、妙な女に川に突き落とされ、殺されそうになるのです。
そこを救ってくれたのが、
これまた曰くありそうな和歌山藩士のお侍です。

このお侍やなんかの協力を得て、なんと大奥に潜入!
時はちょうど絵島生島事件の直後です。
将軍継承をめぐる陰謀に行き当たり、
その裏に紀文の存在があることを突き止めます。

お夢が書きたいと願う戯作のネタはそろいました。
でも、どこも出版はしてくれないでしょうし、
上演もムリでしょう。
おまけに、結末が出来上がらない。
悩むお夢に、陰謀の奥底が見えてきて・・・、
となる辺りが、ちょっとややこしくて混乱しました。
だって、登場人物が多いんだもん。
「これが真相だ!」と思ったら、
また別の底が見えてきて、すべてがひっくり返ります。
奇想天外なお江戸ミステリーでした。






柳原慧『パーフェクト・プラン』
2007年10月16日(火) 21:03
パーフェクト・プランパーフェクト・プラン
柳原 慧

 ちびちび的プチ評
  今日的要素詰めまくり!
  こんな誘拐劇もあったのかって感じです。
宝島社 2004-01
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かつて新宿の女王と呼ばれた良江は、
今は「代理母」として生計をたてています。
出産を控えた彼女は、
いつものジンクスとして「一号」に会いに行く。
そこで虐待される我が子(?)・俊成の姿を見てしまうのです。
思わず俊成を連れ出してしまう良江。
昔のオトコである幸司の呼びかけに、
新宿仲間の赤星、張龍生が集まり、
チーム「Enigma」を結成。
そして、

「身代金ゼロ!せしめる金は5億円!」

という前代未聞の誘拐劇が始まったのです。

第2回「このミス」大賞受賞作というだけあって、
テンポもよく、とてもおもしろく読めました。
現代社会の明暗がいっぱい詰め込まれていて、
ちょっと頭がグルグルしちゃう部分もありましたが。

誘拐の身代金として使われるのは、株。
流行のオンライントレードです。
ES細胞を使った若返りの薬の開発と美容整形の会社を対象に、
ネット掲示板やメルマガを利用した風説の流布をしかける。
株価は高騰しますが、
引きこもりのハッカーが暗躍し、事件を引っ掻き回す。
ITに詳しい女性刑事は組織を無視して一人突っ走り、
うつ病の老人は子どもを守るために立ち上がる・・・。

転がしだしたら止まらない事件とでもいうのでしょうか。
一つの区切りが次のドミノを倒してしまい、
二転三転していく。
昭和の匂いと超ハイテク世界が入り混じっていて、
ミョ〜なおかしさをかもしています。

こんなに現代的な話を綴ってきて、
ラストはベタベタの2時間ドラマ風なので、
おや?という気もしましたけれど。
まぁ、これもありかということで、
一気読み必至のストーリーです。




山田真哉『食い逃げされてもバイトは雇うな』
2007年07月23日(月) 20:14
前作『さおだけ屋はなぜ潰れないのか?』に続く、
数字のからくりを分かりやすく解いた本です。

食い逃げされてもバイトは雇うな 禁じられた数字 〈上〉食い逃げされてもバイトは雇うな 禁じられた数字 〈上〉
山田 真哉

 ちびちび的プチ評
  数字マジックにはなるほど!ですが、
  要注意度は前作より上がったかも。

光文社 2007-04-17
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この本を読んで・・・最近の新書って、
タイトルは長く、内容は薄く
の傾向があるのかと思ってしまいました。
先日読んだ香山リカさんの本も、
そういえば、薄かったな〜。

本書では、「分かりやすく」に重点を置いた分、
中身が薄くなったともいえるでしょうが、
それにしては、投資のススメの章はあつい。
バブルの頃、いろんな「評論家」さんたちが、
投資を熱心に勧めていたことを思い出します。
著者は会計に強くなれば(数字を読めるようになれば)、
株を買うにあたってもスカはつかみにくくなる、
と言いたいようですが、
ちびちびは「ナントカの生兵法」という諺が
頭に浮かびました。

ただ、コピーライティングの上手さを解いた話は、
おもしろく読みました。
「web 2.0」「ゲド戦記」がすごいという理由です。
そこに数字のマジックがあって、
技法を身につければ、
ビジネスにも活かせますよ、とのこと。

ちびちびも、
「web 2.0」という言葉を聞いたとき、
「なんじゃ、そりゃ?んじゃ1.0はいつからあったの?」
と思ったので、
なるほど、まんまとのせられたなぁ〜と気付いたわけです。
このままこんな話を続けて掘り下げてくれた方が、
よっぽどおもしろい本になった気がするのに。
なんでみんな
「株」と「金儲け」に行きたがるのかしらん。
山田真哉『さおだけ屋はなぜ潰れないのか?』
2007年07月22日(日) 23:43
ベストセラーとなった本ですが、
読み終えて、ちょっと、どうなんかな〜と感じました。

さおだけ屋はなぜ潰れないのか? 身近な疑問からはじめる会計学さおだけ屋はなぜ潰れないのか?
身近な疑問からはじめる会計学

山田 真哉

 ちびちび的プチ評
  数字のセンスを身につけるための入口にはなるかも。

光文社 2005-02-16
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「会計学」というと、難しい専門用語が並ぶので、
身近なところから始めましょう、
という取り組みは分かります。
実際、
「数字を分かるようになりたい」
ニーズが多かったからこそ、
本が売れたのでしょうしね。

その意味では、
広告の裏に隠された数字のマジックを読み解いたり、
客のいなさそうに見えるお店が成り立っている理由を見つけたり、
「目からウロコ」でおもしろい!
と思える部分もありました。

さおだけ屋が潰れない理由も、
おぉ〜なるほど〜
と思わせてくれましたが、1つ疑問。
たった一つの例を元にして、書いちゃっていいのかしらん。
理由が単純なだけに、
そしてこの本のタイトルが有名になっただけに、
ちょっと「決めつけ」は危ない気がします。

そして、読みながら感じたのは、
数字だけをみることの危うさです。
ま、この本は「経営」ではなく、
「会計」の本なのだから仕方ないですけど。

例えば、「在庫管理」の考え方を説明する章で、
トヨタのかんばん方式に触れています。
在庫をたくさん抱えてしまうと、
管理も大変だし、場所もとるし、
モノによっては痛んじゃうし。
その点、必要なものを必要なだけ注文する方式は、
画期的!となるわけですが。
それは、「河の上流」にいる人からの見方では?
と思うのです。

また、
企業の存続のためには、まず利益!
とあります。
それはもちろん、その通りです。
でも。
利益だけを重視した企業の不祥事を
何度も何度も見てきました。
利益をあげるために、
偽装したり、人を使い捨てにしたり。

ちびちびは簿記の資格を持っていて、
経理も経験しました。
なので、思います。
会計を見ていると、企業の動きがよく分かります。
経理の実務は、
今日の金庫の残額はもちろん、
三ヶ月、半年後の動きまで頭に入れないとできないですもん。
ですから、営業や製作部門だけ知っていて、
会計のことをまるで知らないよりは、
分かっていた方がいいことは多いと思います。

でも、数字だけを見て、
その向こうにある人間や責任や倫理が
見えなくなるようなことは避けたい。
数字のセンスを身につけ、
数字に強くなるということは、
数字のもつ怖さも知らなければいけない。
そして、数字の操作が、
いかに簡単なものかも。
そこんところ、
も少し注意深く書いて欲しいなと感じました。

ただ、まぁ、「会計」の本ですから。
入門書としてはホントに簡単な話ですし、
やさしく読みやすくは書いてあります。
まったくなんにも知らない人にはいいのかも。
でも、これを読んで、
決算書を読めるようになるとは思えませんが。


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