2008年06月05日(木) 23:32
![]() | 濁流〈上〉―組織悪に抗した男たち (講談社文庫) 高杉 良 ちびちび的プチ評: ![]() ![]()
会社の暗部を覗き見した気分です。 講談社 1996-02 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
![]() | 濁流〈下〉―組織悪に抗した男たち (講談社文庫) 高杉 良 講談社 1996-02 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
産業経済社の社長で主幹の杉野は、
政財界のフィクサーを自任している。
気に入らない企業トップがいれば、雑誌『帝都経済』でたたきまくり、
広告料をせしめるやり方で「取り屋」とも呼ばれる男。
その秘書を務める田宮大二郎は、杉野の長女と婚約し、
社のホープとして期待を集めているわけですが、
実態はというと、杉野の使い走りで「集金」係です。
いつかは編集部に戻りたいと願いながら・・・。
杉野が入れあげているのが「聖真霊の教」という新興宗教で、
社員は皆、本山への参拝を強要されています。
ただ一人拒み続けているのが、エース記者の吉田。
そして、強要を免除(?)されているのは、
会社のナンバー2で、杉村の愛人・古村綾。
企業が信仰を強要するのは憲法違反だ!
と、吉田の反抗がシビアな闘いになっていく。
お金のためなら手段を選ばない杉野や
彼を持ち上げ畏怖する企業トップの姿は呆れるばかりです。

「一本」というから「一千万円」かと思いきや、
そのも一個上なんですね〜。
企業が杉野に渡す広告費は、
当然、商品に上乗せされるわけで、
そうすると、私たちのお金がこいつらに渡るのか!?
と思うとイヤ〜な気分になってしまいます。
そして、企業トップとしての杉野はというと、
超超超ワンマンで、イエスマンで固めた上でふんぞり返っています。
朝令暮改、怒鳴り散らし喚き散らし、苦言に聞く耳を持たない。
なんと、田宮さんは取締役になって一週間で
2回も降格させられるんですから。
気分で人事をやられたら、たまったもんじゃありません。
「一流経済紙」を目指したいと立ち上がる田宮や吉田に対して、
サラリーマンの辛さをにじませる川上編集長は哀れに思えます。
利かん気の上司をもつサラリーマンたちには、
共感を呼び、快哉を叫びたくなるお話でしょうね。
モデルは雑誌『経済界』の佐藤正忠ということですが、
登場人物や会社名は、みんなすぐに連想される名前ばかりです。
「曽根田元総理」とかね。
このあいだブックオフで
佐藤さんがお書きになった『信仰は力なり』が
いっぱい並んでいるのを見ました。
あぁこれが!と、ちょっとププッとなりました。
高杉さんの小説を読んでいると、
いつも感じることですが。
女性はいつも、「お茶くみ」係であり、
奮闘する男性主人公の「癒し」係でしかない。
日本社会というのは、オトコで動いてるんだな〜と強く感じるわけです。
ただ、この小説は珍しく、
女性も大きな流れを起こしています。
まぁ、「事件の陰に女あり」的な描き方ですが。
2008年05月11日(日) 22:24
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黄金の天馬 (文春文庫) 津本 陽 ちびちび的プチ評: ![]() ![]()
明治の「漢」のロマンが詰まったお話です。 文藝春秋 1987-03 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
合気道の開祖・植芝盛平をモデルにした小説です。
明治の始め、和歌山の山奥で生まれ育った隆之助の一代記になっています。
身体が小さくて気が弱く、
近所の子どもからバカにされることも多かった隆之助。
せっかくの勤めも辞めてしまい、
東京に夢を持ってやってきますが挫折します。
なんとか自分を鍛えなおしたいと武道に活路を見出すのです。
血のにじむような努力の末、
合気道を創始し、やがて海外にも広まるようになる。
北海道へ開拓民として出て行く話や、
立身出世を願う親心なんかは明治の庶民の姿を描いていて
おもしろく読みました。
合気道に興味のある方は、
神がかり的な存在だった開祖の半生はもちろん、
人間「植芝盛平」の恋バナなんかも楽しめるかな?
ただ、子どもを亡くされた時の悲嘆や、
合気道が戦後、組織化されてからのくだりは、
もう少し読みたかったな〜と思います。
で、今日はこの本のことを書こうとずっと決めていました。
実は本日ちびちび、
合気道の昇段審査を受けてきたのです。
開祖はちびちびとかわらないくらい小柄な方だったということですが、
なんでこんなに違うんだろう???
私には裏山の神さまが付いていてくれないから?
いろいろと悩みつつ、
稽古のために、4月中は脳みそがお豆腐状態で、
へとへとに疲れていたわけです。
いや〜。
正直言って、ここまで、ホントに大変でした。
技の稽古だけでなく、精神的にも。
でも。
忙しい中、時間を割いて稽古をつけてくれる先生がいて、
応援してくれる稽古仲間がいて、
私は幸せものだなぁと実感。
審査中は頭の中真っ白!状態だったので、
いったい自分がどんな技をやったのか記憶が飛んでいますが、
よく集中して、自分が今やれるだけのことはやれたかな、と思います。
まだまだここが上手くいかない〜
ともだえちゃう技もあり、
これからもっと稽古を積んでいかなきゃなと感じました。
当日に、ちびちびの先生が現場に来れないということもあり、
ガビョ〜ン


となっていたのですが、無事に終わってホッとしました。
結果はまだですが、私的には満足。
やっと、ゆっくり眠れそうです。
2007年11月15日(木) 23:34
![]() | 世界一くだらない法律集 デヴィッド・クロンビー ちびちび的プチ評: ![]()
二匹目のドジョウっぽくはあるけれど、まぁ笑えます。 ブルース・インターアクションズ 2007-08-03 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
タイトルにつられて買ってしまった本書。
ちょっと変わった法律や、
裁判所でのやり取り、
弁護士に関するジョークを集めた本です。
Q:最初の結婚生活が終わった理由は何ですか?
A:死別です。
Q:それでどちらが亡くなったのですか?
というやり取り。オイオイと思うものが続きます。
おとぼけ漫才みたいなものから、
ふざけてるとしか思えない受け答えまで、
チョ〜まじめで堅苦しいイメージのある裁判で
ホントにこんなことがあるんだ・・・。
そして、イギリスにある法律。
窓からベッドをぶら下げてはいけない。
ぶら下げた人がいたから、
禁止する法律ができたんでしょうね。
どうやってぶら下げたんでしょう。
木製かな?スチール製かな?
シングルベッドか、クィーンサイズか?
なんで、ぶら下げたかったんでしょう。
マットレスをお日様に当てたかったのかしらん。
なら、マットレスだけを出せばよかったのに・・・。
などなど、様々な疑問が浮かびます。
法律というのは
その国の風習や文化を担ってできているものが
多いと思います。
なので。
ただ単に「くだらん法律」と羅列するだけではなく、
その背景が知りたい!と感じました。
2007年10月05日(金) 23:30
![]() | 明日はわが身 (新潮文庫 た 52-14) 高杉 良 ちびちび的プチ評: ![]() ![]()
まさに「明日はわが身」。健康第一ですな。 新潮社 2007-03 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
製薬会社のエリート社員だった小田切は、
派閥抗争に巻き込まれて左遷されます。
行った先は、薬のセールスマン=プロパーです。
ワガママで横暴な医者の「御用聞き」状態となり、
胃潰瘍で入院。
このときの輸血が元で肝炎を患い、
長期療養を余儀なくされてしまうのです。
おまけに、婚約も破談。
患者に対するときはにこやかな医師たちの豹変ぶり。
「医は仁術」ならぬ「医は算術」な医療現場。
そして、会社組織の冷酷な仕打ち。
高杉さん自身、サラリーマン時代に闘病生活を送ったとのことで、
入院生活や生体検査の苦しみなんかには、
とってもリアリティがあります。
そのために、読んでいてとっても苦しかった・・・。
ちびちびも、21歳の頃、
交通事故で半年ほど会社を休んで入院生活を送りました。
その間、周りの人たちから受けた言葉の数々は、
今でも忘れられません。
小説の小田切とは違って、交通事故での入院なので、
入院費の心配もいらないし、
退院の見通しだってできる程度でした。
人間の身体のもろさとしぶとさに驚き、
リハビリの辛さに泣いていた頃です。
会社の人から色々言われたんですよね〜。
まぁ、超忙しい仕事を休まざるをえなくなった
自分にも引け目がありましたし、
ついつい一言言いたくなる上司や先輩の気持ちも分かります。
でもでもでも。
なりたくてこうなったわけじゃないもん!!!
声を大にして言いたい思いがあって。
会社のために働くんじゃない。
自分のために生きなくては。
そう、強く感じた。
そのことを、本を読んでいる間中、思い出してしまって、
高杉作品にしては珍しく、読破に時間がかかりました。
これまでに結構、いろんなお医者さんに出会って、
素晴らしい
と思える人もいれば、
この人に私の命は預けられない
と思う人もいました。
小説の中にも、そんな人たちが登場します。
プロパーという医者に「NO」とは
言えない立場の人から見た医療現場は、
すさまじく恐ろしい世界でした。
企業の論理をベースにした闘病記の趣のある一冊でした。
2007年07月01日(日) 22:31
初めて、藤堂志津子さんの本を読みました。
が。
なんともまぁ「あれれ?」という感じで
終わってしまいました。
性の不一致から離婚し、母を亡くしたばかりの恵利子。
明るく大らかで、バイタリティあふれるキャリアウーマンの映子。
仕事で知り合った二人が親しくなって、
そこに絡んでくるのが、映子の5年来の愛人・甲介です。
甲介は3歳で事故死した娘の姿を恵利子に重ねてしまうのです。
恵利子も甲介も、肉親の死に責任を感じてきました。
自分が直接の原因ではないけれど、
それでも「良心の呵責」を抱きながら生きてきた二人。
食事をしておしゃべりをすることで、
お互いの傷を癒していこうとします。
肉体関係はないけれど、
これを知った映子としては納得いかない。
この三角関係に加えて、
甲介の妻・布美の浮気が映子に知れます。
ちょうど、5年間も「都合のいい女」扱いされたことに
怒っていた映子。さぁ、どうする!?
と、ちびちびはサスペンスな展開を期待したのですが、
ちっともそういう方向には行かず、
「ええええっ
」
と意外な展開になっていき。
布美と映子の関係というのは、
私には理解不能ですな。
主人公の恵利子も甲介もはっきりしない人なので、
なんとなくモヤモヤ〜とした感じがしました。
ただ。
恵利子が甲介からの電話を思い出しながら、
一人にやけてしまう、という女心はとても分かります。
恋の始まり
の、一番甘くて楽しい時間ですもんね。
恵利子は甲介に、
甲介は恵利子に、
映子は甲介、恵利子、そして布美に、
布美は浮気相手から映子に、
と、それぞれに依存していきます。
それは、本当に立ち向かわなければならない相手からの
「逃避」でもあって、
人間の弱さをよく描いているな、という感じではありました。
でも。
今どきの女性が、
「残念ですわ。私は〜〜五年間の部長しか存じあげませんもの」
なんて話しますかね。
この小説の台詞はすべて、
ちょっとあんまり現実感がなかったのですが・・・。
ちびちびが粗雑なだけかしらん。
が。
なんともまぁ「あれれ?」という感じで
終わってしまいました。
![]() | 絹のまなざし 藤堂 志津子 ちびちび的プチ評:
切ない女心は共感。でも覇気のない主人公にモヤモヤ。 幻冬舎 2005-12 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
性の不一致から離婚し、母を亡くしたばかりの恵利子。
明るく大らかで、バイタリティあふれるキャリアウーマンの映子。
仕事で知り合った二人が親しくなって、
そこに絡んでくるのが、映子の5年来の愛人・甲介です。
甲介は3歳で事故死した娘の姿を恵利子に重ねてしまうのです。
恵利子も甲介も、肉親の死に責任を感じてきました。
自分が直接の原因ではないけれど、
それでも「良心の呵責」を抱きながら生きてきた二人。
食事をしておしゃべりをすることで、
お互いの傷を癒していこうとします。
肉体関係はないけれど、
これを知った映子としては納得いかない。
この三角関係に加えて、
甲介の妻・布美の浮気が映子に知れます。
ちょうど、5年間も「都合のいい女」扱いされたことに
怒っていた映子。さぁ、どうする!?
と、ちびちびはサスペンスな展開を期待したのですが、
ちっともそういう方向には行かず、
「ええええっ
」
と意外な展開になっていき。
布美と映子の関係というのは、
私には理解不能ですな。
主人公の恵利子も甲介もはっきりしない人なので、
なんとなくモヤモヤ〜とした感じがしました。
ただ。
恵利子が甲介からの電話を思い出しながら、
一人にやけてしまう、という女心はとても分かります。
恋の始まり
の、一番甘くて楽しい時間ですもんね。
恵利子は甲介に、
甲介は恵利子に、
映子は甲介、恵利子、そして布美に、
布美は浮気相手から映子に、
と、それぞれに依存していきます。
それは、本当に立ち向かわなければならない相手からの
「逃避」でもあって、
人間の弱さをよく描いているな、という感じではありました。
でも。
今どきの女性が、
「残念ですわ。私は〜〜五年間の部長しか存じあげませんもの」
なんて話しますかね。
この小説の台詞はすべて、
ちょっとあんまり現実感がなかったのですが・・・。
ちびちびが粗雑なだけかしらん。










