2008年05月11日(日) 22:24
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黄金の天馬 (文春文庫) 津本 陽 ちびちび的プチ評: ![]() ![]()
明治の「漢」のロマンが詰まったお話です。 文藝春秋 1987-03 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
合気道の開祖・植芝盛平をモデルにした小説です。
明治の始め、和歌山の山奥で生まれ育った隆之助の一代記になっています。
身体が小さくて気が弱く、
近所の子どもからバカにされることも多かった隆之助。
せっかくの勤めも辞めてしまい、
東京に夢を持ってやってきますが挫折します。
なんとか自分を鍛えなおしたいと武道に活路を見出すのです。
血のにじむような努力の末、
合気道を創始し、やがて海外にも広まるようになる。
北海道へ開拓民として出て行く話や、
立身出世を願う親心なんかは明治の庶民の姿を描いていて
おもしろく読みました。
合気道に興味のある方は、
神がかり的な存在だった開祖の半生はもちろん、
人間「植芝盛平」の恋バナなんかも楽しめるかな?
ただ、子どもを亡くされた時の悲嘆や、
合気道が戦後、組織化されてからのくだりは、
もう少し読みたかったな〜と思います。
で、今日はこの本のことを書こうとずっと決めていました。
実は本日ちびちび、
合気道の昇段審査を受けてきたのです。
開祖はちびちびとかわらないくらい小柄な方だったということですが、
なんでこんなに違うんだろう???
私には裏山の神さまが付いていてくれないから?
いろいろと悩みつつ、
稽古のために、4月中は脳みそがお豆腐状態で、
へとへとに疲れていたわけです。
いや〜。
正直言って、ここまで、ホントに大変でした。
技の稽古だけでなく、精神的にも。
でも。
忙しい中、時間を割いて稽古をつけてくれる先生がいて、
応援してくれる稽古仲間がいて、
私は幸せものだなぁと実感。
審査中は頭の中真っ白!状態だったので、
いったい自分がどんな技をやったのか記憶が飛んでいますが、
よく集中して、自分が今やれるだけのことはやれたかな、と思います。
まだまだここが上手くいかない〜
ともだえちゃう技もあり、
これからもっと稽古を積んでいかなきゃなと感じました。
当日に、ちびちびの先生が現場に来れないということもあり、
ガビョ〜ン


となっていたのですが、無事に終わってホッとしました。
結果はまだですが、私的には満足。
やっと、ゆっくり眠れそうです。
2008年05月07日(水) 21:48
![]() | 葉桜の季節に君を想うということ (文春文庫 う 20-1) 歌野 晶午 ちびちび的プチ評: ![]()
小説でしか成立しない構成に、オドロキ! 文藝春秋 2007-05 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
「何でもやってやろう屋」の成瀬将虎、通称トラちゃんは、
同じフィットネスクラブに通う愛ちゃんからある調査を依頼されます。
内容は、悪徳商法の疑いがある蓬莱倶楽部について。
愛ちゃんは「おじいちゃん」が
倶楽部に殺されたと疑っているわけです。
一応、元探偵ということもあり、
また、愛ちゃんにあこがれるキヨシにも頼み込まれ、
トラちゃんは捜査を開始。
妹の綾乃の協力も得て、徐々に倶楽部の実態が見えてきます。
そして飛び込み自殺を食い止めた縁ではじまった
麻宮さくらとの交際も少しずつ進展していく。
一方で、
この世の不幸を一身に背負ったような女・節子の話も描かれています。
蓬莱倶楽部に骨までしゃぶられ、
ついには取り込まれてしまった節子。
いったい、この二人がどうつながるんだろうと、思っていたところ・・・。
種明かしのくだりで、
「えええええっ〜〜〜
」
となって、しばらく意味が分かりませんでした。
ううう、すっかり騙されました。
これって小説でしか成立しないプロットですな。
騙された理由は、この主人公のトラちゃん。
だって、ホント、自分勝手でご託並べるばっかりで、
口が悪いし、態度も悪い。
「最近の若いモンは・・・
」
といいたくなるような人物。
「何でもやってやろう」という熱意は買うけど、
暢気なフリーターにしか思えなかったんですもん。
なるほど、そういうことね〜、と。
笑ってしまうか、怒り出すか、別れるところかもしれません。
この本、ずっとタイトルが気になっていた本でした。
もっとロマンチックでセンチメンタルなイメージを持っていたのですが、
まさかにわか探偵の推理小説だとは思わなかったデス。
そこも、騙されました。
2008年05月06日(火) 23:26
![]() | メリーゴーランド (新潮文庫) 荻原 浩 ちびちび的プチ評: ![]() ![]()
浮世離れした公務員の姿にそら恐ろしくなります。 新潮社 2006-11 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
Uターン帰郷して、市役所に勤める啓一は、
役所のお荷物と呼ばれるテーマパークの
再生事業を担当することになります。
まず、事業部の名前でもめる人たち。
面子と見栄とヨイショばかりで話が進みません。
そして、会議のための会議が続いて、もうゲンナリ。
「好きなようにやってやるさ」
と、昔の劇団の先輩を呼び込み、
メーカー勤務時代のつてを頼って仕事をさばいていく。
知り合いの棟梁に依頼して若手を回してもらい、
どうにかオープンにこぎつけます。
が。
前年度より業績を上げてはいけないのが、お役所の仕事。
なぜなら、それまでの仕事ぶりを否定することになってしまうから、
なんだとか。
上司は知らんぷり。なので、当然。責任は啓一に降りかかる・・・。
民間の企業人からすると、
「なんじゃ、そりゃ!?」と思うこと請け合いです。
特に、経費の考え方・算出法なんかは、オイオイと思います。
まぁ、公務員の方が読むと、
「ここまでひどくない
」と感じるのかもしれませんが、
今のお役所関連のニュースを見ているとね・・・。
現実は遠からず、と思えてしまいますが。
荻原さんの小説には必須の強烈キャラクターたちが
今回も大暴れしています。
傍若無人な団長しかり、典型的なヤングマンしかり。
ヤンキーの大工集団には、大笑いさせられました。
ユーモア小説ではありますが、
勤め人ならではのせつない思いもいっぱいつまっています。
ラストの「メリーゴーランド」のシーンは、
とっても美しいエンディングですよ。
2008年05月05日(月) 21:08
![]() | 明日の記憶 (光文社文庫) 荻原 浩 ちびちび的プチ評: ![]() ![]() ![]() ![]()
誰かと共に生きることの幸せをかみ締めました。 光文社 2007-11-08 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
広告代理店の営業部長を務める佐伯は、
ワーカーホリックで大酒のみだったのですが、
体調がすぐれず病院にかかることになります。
そこで告げられた病名は、若年性アルツハイマー。
まだ50歳だというのに。
まもなく一人娘が結婚するというのに。
そしてすぐに「おじいちゃん」になるところだというのに。
結婚式までは現役でいたいと励む佐伯ですが、
アポを忘れ、会議を忘れ、取引先にたどり着けずに迷子になる。
自分ではまだしっかりしているつもりなのに、
周囲の反応に過敏になり、顔色をうかがってしまう。
誰にでもありうる「うっかりミス」や「ど忘れ」が、
アルツハイマー患者には
こんなにもビクビクしなければならない「事件」になってしまうのだな〜と、
感じます。
患者本人である佐伯の一人称で物語が進むので、
この辺りの焦りや怒りが読んでいて辛いほどです。
愛する家族がいるからこそ頑張ろうとも思いますが、
病気の進行を考えると恐ろしくてたまらなくなる。
記憶を失うことは、自分を失うこと。
その恐怖と闘いながら佐伯は、
何かに怒りをぶつけるわけでもない。
日々、必死に「生」にすがりつく姿が淡々と綴られます。
ラストシーンを読むと。
私は妻の枝実子さんのように、
全てを大きく温かく受け止められるだろうか。
と、考えてしまいました・・・。
重いテーマですが、枝実子さんのおかげで、
希望をちょこっと感じられるラストです。
2008年05月04日(日) 21:40
![]() | 博士の異常な発明 (集英社文庫) 清水 義範 ちびちび的プチ評: ![]() ![]()
いや〜まいった!笑った!惚れました! 集英社 2005-08-19 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
キューブリック映画のもじりだなとすぐ分かるタイトル。
ジャケ買いならぬ、タイトル買いをしてみて、
う〜ん、思わぬ大当たりでした。
史上最大の発明はなにか?
という新聞記者たちの雑談から始まり、
様々な発明家たちによる大発明を綴った短編集です。
ペットボトルをあっという間に分解してしまう菌の発見や、
コロンブスの卵的発想から誕生した透明人間。
あっと驚く大発明がいっぱい登場します。
せっかくの発明なのに、その行く末は・・・という辺りも、
しっかりスパイスの効いたつくりになっています。
ダジャレ、パロディのオンパレードで、
まぁ、もう、大笑いでした。
ちびちびが一番笑ったのは、「袁孫の発明」。
遠い唐の時代。皇帝に仕える袁孫という発明家が、
墨汁と筆を工夫して、乾かない筆を発明します。
これを応援したのが二人の宮廷書記。
その名も、紋武蘭(モンブラン)と巴苛(パーカ)です。
実用的なものを作ろうとして、
とんでもなく非現実的なものを生み出してしまう。
袁孫という歴史に埋もれてしまった人物に拍手!
ニヤリとさせられたのは、
「鼎談 日本遺跡考古学の世界」。
一万年後の世界で、
日本の遺跡を研究する学者たちの鼎談です。
少しだけ発見された遺跡を元に
学者たちが大真面目に議論を交わすので、
ピントがずれているような、当たっているような・・・。
21世紀前後の日本は、
なるほど、こうだよな〜とうなずいてしまう
ブラックユーモア満載のお話。
清水さんの本は、これが初めてでした。
かる〜く笑いが欲しい方、オススメします。









